待望の第三巻が発売!
帯文になぜゴルゴ…?とはならず、しっくりきてしまう作品です
「紛争」などというと傭兵や軍人の戦い…みたいな作品が多そうですが
そういうものとは全く違う、知性で戦う作品です
(まあ戦うのですが)
・地政学
・第三巻について
・クリミア編の終了
・日本ヤンキーの縄張り争い
・インド編、「宗教とITと蟲の夢」
・地政学
作品の柱である「地政学」は「地」という文字で誤解されやすいのですが
地理地形を学ぶものではありません
(根幹レベルのファクターなので、スルーはできません)
一方で文字通り「政」治レベルの話でもあります
とはいえ、専門分野これ!という事項はと聞かれると「?」となってしまいがちな
総合的な視野を対処問題に合わせて変えるものと言えばいいのか
とにかく概念として把握するのがちょっと難しいかもしれません
個人的には書中のセリフ「チセイにおまかせ」のように、
「地政学」よりも「知性学」と書くほうが好みです
・第三巻の内容
前巻から続くクリミア編の完結
日本のヤンキー戦争、
インド編のスタート
という構成です
それにしても内容が本気すぎる…と当初から思っていましたが
思いっきり大手の監修が入ってました笑
ウェブの紹介文で十分わかるかと思いますが
リスクコンサルタントというのはとても幅広い知識が必要で
かつその知識を生かす分析と考察、応用と提案がワンセットです
https://www.tokiorisk.co.jp/
ぶっちゃけ大手以外では何もできない、というのが実際のとこですよね
(必要なモノとスタッフなどなどが個人の才能や裁量でどうにかなるレベルではないので)
三巻ではプリンシパルリサーチャー、川口 貴久(Takahisa Kawaguchi)氏のコラムが掲載されており
九州の「地政」も収録され、短い内容ですが国内のことなのでイメージしやすいかと思います
では内容について…ですが、物語には触れません笑
・クリミア編の終了
「民族のアイデンティティ」がテーマのトピックは日本人にはかなり理解が難しいと思います
かくいう私も理屈ではわかる、程度であり、実感ができません
地政学的な話ですと民族、国家、人種に対して地理的な要素が与える影響の一つに
同じ人種が地理を隔てて「異国で活躍する同国人」になると、異常な価値を感じるというものがあります
逆に見れば、「自国で活躍する異国人」への視線がどうなるか…でしょうか…
モデルはもちろんクリミア併合以降のロシアとウクライナ、そして学ぶほどにろくなこと以下略!?となる欧州の歴史です
そういえばTwitterで私のTLにたまに流れる、欧州史に詳しいアカウントあったのですが、誰だっけ…
コラムで川口氏が「ロシアと欧州各国の事情を知るのによい」とお勧めしている「帝国ロシアの地政学」は私も購入しようと思います
もめごとは大体において地政学的な考察ができる、という悲しい話でもありますね…
暴走族の抗争宣言もSNSでやる時代というのは、珍妙に感じるかもしれませんが
アメリカなどではFBなどでのバトルは現実とリンクして報復や襲撃も行われたりするので*1
むしろそういうとこだけアメリカナイズされてきたように感じました
SNSは二次元でもサイバー次元でも2.5次元ですらなくなったということでしょう
*1某テロ組織の運用や、流される公開処刑や襲撃の実況など、今更ではありますが
具体事例のいくつかは「いいね戦争」に収録されています
・インド編、「宗教とITと蟲の夢」
タイトルに震えました
内容については書きませんが、綺麗な上澄みだけの更に清澄だけを見て
「外国では~」とほざくバカ気軽に言えるうらやましい方々には
八万冊買って八億回複写してほしいです
さて、一点だけネタバレしますが、作中で主人公ユリがOSINT技術で人物情報を特定します
SNSに限らず、いわゆる身バレネタというのは実はめちゃくちゃ多く
その道のプロには写真一枚から相当のことがわかってしまいます
ただし「何が写っているか」だけではよほどわかりやすいものだけで
「写ったものについての知識」を掛け算して分析するのが基本ですので
知識と思考力がないとほとんど何もできないというのが実際のとこでしょう
心理からインテリジェンスまで、地政学の面白さは結局のところ「幅広さ」なのかなあと思っています
そのルーツを政策評価に持つ学問という説も考えれば、当然でしょうか?(*’ω’*)